組織戦略の考え方 ――企業経営の健全性のために (ちくま新書)

組織戦略の考え方 ――企業経営の健全性のために (ちくま新書)

まず仕事の多くをプログラム化し、そのプログラムで対応できない例外をヒエラルキーによってその都度上司たちが考えて処理する。これが組織設計の基本中の基本である。

事業部制の本質的な特徴は、日常業務の処理と戦略的な課題とをそれぞれ事業部と本社に分割する点にある。

そもそも人間は、目の前に大量のルーチンワークを積まれると、その処理に追われ、創造的な仕事を後回しにしてしまう傾向がある。

企業組織のような社会システムを運営する上で日常的に一番重要なのは自己実現欲求などではなく、それよりも低位の承認・尊厳欲求である。

組織を作るメリットが出てくるのは、まさに繰り返し出現する問題を解決する手順やルールがあらかじめ決められていて、各人が自分に割り振られた役柄をそれぞれきちんとこなせば、大量の複雑な仕事を驚くほど効率的に、しかも信頼性高く遂行できるというところにある。